売上低迷以外に資金繰り悪化の原因で
問題になるのが過剰設備投資です。
特に既存設備投資の見直しは必須になります。
資金繰りを改善するためにどのように
過剰設備投資を見直し健全化していくのか
以下の順番に説明します。
- 既存設備投資を見直す
- 設備投資の優先順位と効率性の判断基準
- 資金繰りを悪化させない設備投資のポイント
既存設備投資を見直す
もともと採算を考えないで設備投資を
している中小企業はものすごく多いです。
うまくいけばいいのですが高い確率で失敗しています。
そういうところを見ていると資金繰りが悪化して当然なんですが
経営者はまったく気が付かないで資金のやりくりに四苦八苦しています。
かといって過剰設備投資をそのまま使い続けていれば
資金繰りが良くなるはずがありません。
まずはじめにやることは遊休資産・低収益資産の処分売却です。
資産を処分して獲得した資金で借入金の返済・再投資を
実施して資金繰りを改善します。
不採算部門や事業があれば思い切って撤退します。
すでに資金繰りが悪化している場合は資産処分を
徹底してやります。
不採算事業の見極める方法としては限界利益分析法があります。
限界利益=売上-変動費
限界利益>固定費用
限界利益で固定費用を賄えなければ撤退します。
また設備投資資産を処分する
採算基準は次の章を参考にしてください。
採算が取れず赤字を発生させる設備資産は
すぐに処分しましょう。
設備投資の優先順位と効率性の判断基準
優先順位を決める
なぜ利益を生まない過剰設備投資が発生するのでしょうか。
設備投資をするときに判断基準をもたないで
いい加減にあるいは多分大丈夫という安易な勘で
投資を実行していることがほとんどです。
設備投資の計画段階で慎重に検討することが重要です。
本業以外の設備投資には注意が必要です。
(特に本社購入など不動産投資には注意が必要です。)
本業に関わる設備投資を中心にその必要性を
十分検討しその中から優先順位を決めて投資していきましょう。
設備投資の判断基準
中小企業の場合、言われるがまま、何も考えず
設備投資をしている会社が非常に多くあります。
たまたま上手くいっている会社は運がいいだけで
非効率な設備投資した会社は無用の長物をかかえ
資金繰りを圧迫します。
優先順位を決めたらすぐに着手するのではなく
投資の効率性・収益性を確認してから
設備投資を実行しましょう。
会社に利益貢献しない投資をしても
資金繰りが厳しくなるだけです。
中小企業の場合、設備投資の判断基準を
もたない会社が多くあります。
判断基準を明確にして投資をすれば
無駄な投資をかなり減らすことができます。
判断基準にになる代表的な指標を
あげておきますので参考にしてください。
投下資本利益率
設備投資によって毎年得られる利益を
設備投資総額で割って求める数値です。
不動産投資などでも利用される利回りという考え方です。
基準となる利回りをどこにするかポイントになります。
また中小企業の場合、会計処理が精緻ではないので
設備投資ごとの利益計算が算出できないことも多いです。
投資資金の回収期間
設備投資総額を毎年獲得できる利益で割って、
投下した資金が何年で回収できるか計算します。
単純に回収期間が短いほど評価が高く、長くなれば
評価が低くなります。
社内的に基準となる回収期間を決めることにより
設備投資の可否を客観的に判断することができます。
PV(現在価値)
投資による事業が生み出すキャツシュフローを
金利で割り引いたものをDCFといい
毎年のDCFを合計したものを
PV(現在価値合計)と言います。
この現在価値と投下資本を比べて判断します。
現在価値が投下資本より大きければ採用
小さければ不採用という判断になります。
貨幣の時間価値を考慮するなどの考え方ですが
内容は難しいのでこういう考え方があるという
程度に覚えておけば大丈夫です。
IRR(内部利益率)
内部利益率法はキャッシュフローのPV(現在価値)が
投資金額と同じになるときの割引率のことです。
この利益率の大小で投資案件の評価を決定します。
あらかじめ社内で目標利益率を決めておき
数値を比較して優劣を判断します。
PV(現在価値)同様少し難しいので
知識として知っておいてください。
中小企業の場合は投下資本利益率・投資資金の回収期間などを
利用して設備投資の可否を判断することが重要です。
必ず設備投資の採算を判断してから投資を実行しましょう。
もう少し専門的に頑張ろうということであれば
PV(現在価値)・ IRR(内部利益率)などを
勉強しみてください。
資金繰りを悪化させない設備投資のポイント
借入金などで資金調達をして過剰な設備投資を実行したり、
設備投資の成果が計画通り得られず資金繰り悪化に
苦しんでいる会社が多くあります。
ではそうならないためには最低限どんなことに
注意いすればよいのでしょうか。
そのポイントを2つお伝えします。
営業キャッシュフロー内で投資を心がける
資金繰りに苦しまないためには借入金を利用せず
自社のキャツシュフローを設備投資資金を
充てるということです。
一般的には営業キャツシュフローと言われており
簡単に言うと、「税引後利益+減価償却費」のことです。
設備投資が営業キャッシュフローの範囲で
収まっていれば、基本的に資金繰りに苦しむことはありません。
また将来不測の事態が発生しても十分対応できます。
(緊急時に対応できるよう借入の枠を温存できます。)
設備投資は長期借入金で対応する
すべての設備投資を営業キャッシュフローで
賄うのは厳しい部分もあります。
現実的には中小企業の場合は
銀行からの融資を受けることになります。
この時に注意することは借入金の返済期間です。
基本的には設備投資の耐用年数以下に
なるよう返済期間を調整しなければなりません。
ただ耐用年数が長い設備等の場合も
返済期間を銀行と協議しましょう。
銀行に任せると返済期間を短く設定する傾向が
あるので注意してください。
(銀行はできる限り短期間に回収したいので)
まとめ
設備投資の失敗による過剰設備投資は
資金繰りを悪化させるだけではなく
下手をすると会社の倒産をも招きかねません。
それだけ重要なことなのですが何も考えず設備投資をして
資金繰りに苦しむ多数の中小企業が存在します。
手遅れになる前にとにかく不良設備投資資産を
処分して現金を回収することに専念します。
借入があれば回収した現金で債務を圧縮します。
不良資産処分により資金繰りを正常化させます。
資産処分だけでは資金繰り改善が
難しいようであれば銀行や取引先に対して
債務支払いの調整を依頼します。
将来に向けての方策としては
採算性のない設備投資はしない。
そのためには設備投資の判断基準をしっかり設けて
その基準に沿って実行することがとても重要です。
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